また内緒の話





その後来那は同じような質問を繰り返す




もう来那の記憶は戻ることはないと改めてわかってしまう




でも悪くなることもないから今のままでも十分幸せな日々が送れるのならそれで良いと思う




来那もわがままだから先生の言うこと聞かないし




診察室を出る




約15分くらい質問されただけだった



来那は足取り重そうに出ると




「ちょっとトイレ行って来る」



と、俺に荷物を渡してきた



「おう、いってらっしゃい」




とりあえずベンチに座り待つことにする







それにしても




来那の記憶障害は原因不明だったなんて



脳に支障があるとかならわかるけど



原因不明なら誰も責められないよな




親の虐待が原因だとしたら精神的な問題になるよな





なんて考えてるうちに




来那は出てくる




「おまたせ」







「うん」




来那の荷物を渡す



「来那の記憶では麻生先生は初めましてなの?」



「うん、会った記憶がない」




来那も俺と同じベンチに座る





「あーあーりつとの思い出を共有したかったのに」



来那は本当に残念そうな顔をして足をバタバタさせる


「まあしょうがないよ
俺は今のままでも充実出来るけどな」



俺はそう言うと






来那は悲しげな表情をこちらに見せてきた






「りつは普通に育った人だもんね
私の気持ちなんてわかんないよ」






そう言われた瞬間





俺は嫌な予感がピキッと頭の中で走った






















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