また内緒の話






詩穂は外で待ってくれてるみたいだ




中に入ると




麻生先生が早速怖い顔をしていた





涙目の来那



「来那ちゃん、僕のこと覚えてる?」


麻生先生が聞くと




「………」



来那は2回首を縦に振った






先生は覚えてるのか






「人の顔と名前は覚えてる?」



「………多分」





「じゃあ最近行った場所とかは?」






「…………覚えてない」








覚えてない…






「来那?都内に行って海に行ったことは?
ついこの間の話だぞ?」



俺はがっつくように来那に聞く





覚えてないなんて





そんなの……






「もう何も覚えてないよ!」




来那は俺の顔を見ずに叫んだ






何も言い返せない





こうなってしまったのは誰のせいでもないからだ













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