また内緒の話




全てが絶望状態






来那は思い切り深呼吸をして



「私の記憶はどうなっちゃうの?」






聞きたくない話だった







けどそれを聞かない限りは何もわからない






麻生先生は首を横に振りこう言う




「病名がわからない限りはどう進行していくかわからないけど
でも悪化の進行速度から考えると…」






麻生先生は言うのを躊躇う






その間が怖い




何も聞きたくない










麻生先生はこう言った









「恐らく、3日で記憶は無くなるでしょう」






3日……?





「りつのことも忘れちゃうの?」




泣きっ面で声を震わせながら来那は言う






「忘れると思う」





胸の奥をえぐり取られてるように痛い



来那が俺を忘れるなんて想像がつかない





毎日ラインがきてバイトで会って


帰りにコンビニ寄っておにぎり食べて


“また明日”と手を振って別れて



またラインがきて




そんな毎日が繰り返されていた





でもそんな日々ももう来那の記憶と共に無くなってしまう






「そんなの嫌だ!!」





来那はまた叫んで地面にボロボロ涙落とす





「でもね、来那ちゃん」



麻生先生が真剣な眼差しで来那を呼ぶ




来那は顔を手で押えて耳だけ傾けた




「治る可能性はあるよ」
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