また内緒の話
すると海さんが椅子に座って雑誌を読んでいた
「おう、来たか」
さっきとは違って落ち着いてる海さん
その横でベットで寝ているのは来那だった
「来那は無事なんですか?」
「ああ、軽い脳震盪だってさ」
そ、そうなのか
「来那が部屋に居ないからどこ行ったのかと思って玄関開けたら目の前で来那が倒れてて焦ったよ」
海さんは雑誌をパラパラとめくりながら俺に言う
「そうなんですね」
俺も一旦落ち着いて椅子に座る
すると
来那がパッと目を開けて
「りつ?」
と言って体を起こした
「来那、起きたか!心配したぞ?」
俺は安心させるために笑顔を見せたが
「………誰?」
来那が俺の目を見て言う
一瞬心臓が止まりそうになる
「…ら、来那?また忘れたのか?」
「……りつ…」
「そうだよ、律だよ」
「りつに会いたい」
「…………え?」
「りつに会わせて」
「来那!?
俺だよ、律だよ、ここにいるじゃん」
「いやだ!りつじゃない」
「何言ってんだよ…!」
「りつに会いたい…
助けてりつ!」
「来那…!」
「りつぅー!りつぅー!」
「来那!!!」
俺は大声で来那を呼ぶと来那は固まる
そして耐えきれず俺は来那を抱きしめた
「俺は…ずっとここにいるよ?」
「り…つ?」
すると来那はゆっくりと腕が動いて
俺の背中に手を回した
「……りつだ」
来那は泣きながら小さな声で言ってくれる
その間に海さんは「やれやれ」と言って病室を出た