また内緒の話




クスクスと笑う声が聞こえる




「え?誰かいるの?」




私は慌てて動画を閉じた




「ばか、俺だよ」




私の隣のベッドで何故かお兄ちゃんが寝ていた





「何してんの?」



と、私は呆れた顔で聞いてみた




「俺も久しぶりの休みだし眠てーんだ」



お兄ちゃんは大きなあくびをする



そこから数秒間が空くと





お兄ちゃんはこう言った




「来那の記憶、戻るってさ」







「………え?」





私は突然言われたことに何も反応出来ないで間抜けな返事をした





「え、じゃねーの
律くんが何とかしてくれるってさ」




「りつが…?」





なんとかって言っても治療とか出来ないよね?





でもお兄ちゃんは体を起こして立ち上がりこういう





「来那がいつまでも律くんを覚えていることが1番の治療なんだよ」




なにそれ






それだけでいいなら絶対簡単じゃん




私はりつを信じてる





信じるだけでいいんだよね?









それだけでいいなら私は





「じゃあ、りつを信じる」





そう言って私はベットから起き上がる




「おう、じゃあ帰るか?
来那が起きたら勝手に帰っていいって麻生先生が言ってたし」



「うん!」




私の記憶は1日しか覚えられなくなってしまった





でもりつとなら大丈夫





りつがいるだけで私は強く生きていける


















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