また内緒の話





な、なんだこれ……




来那の部屋は6畳くらいの小さな部屋だった



その部屋の壁には



紙がいっぱい貼られている





「……なに?これ?」




その紙を指差し来那に聞く





「メモだよ」




……メモ?





よく見てみると





『お風呂の沸かし方』


『食器の場所』


『大学の友達と特徴』


『本のカバーの付け方』




そして





『私の大好きな人はよしみりつ』




と書かれている



思わず言葉を失う




これは……どういうことだ…?







「びっくりした?」



と、真剣な表情の来那




「なんでこんなこと書いてるの?」



頭が真っ白になりながらも俺は聞く




「忘れないようにメモしてるの」




「……そんなに忘れっぽいの?」







「ちがう」




来那は首を横に振る






そして




次の来那の言葉が





内緒の話の全てだった









「私、記憶障害なの」










………え?








声にならないほど衝撃だった





記憶障害?

















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