また内緒の話




でも違う




きっと来那の方が怖いに決まってる



もうすでに俺との思い出は消えてるのかもしれない



来那は自分の記憶と戦いながら俺を選んでくれたんだ




俺もここで覚悟を決める





「もし来那が俺を忘れても俺は来那のそばに居るよ
俺の人生は来那の人生だから」



大事なのは自分じゃなくて来那だ



来那が俺に人生をくれるなら俺もそれに答えられるようになりたい




泣き虫な来那が


無口な来那が


華奢な来那が


たまに見せる笑顔の来那が


ぶっきらぼうでも付いて来てくれる来那が俺は大好きだ






来那はまた涙を見せた


「りっちゃん、こっち来て」




来那は甘える時にりっちゃんと呼んでくる



俺は来那方に寄ると




来那は俺をぎゅっと抱き締めた





「触れたいときに触れればいいって教えてくれたのりっちゃんだよね?
こうやって抱きつくのもりっちゃんが初めて
こういう気持ちを忘れたくないって思わせてくれたのもりっちゃんで、
忘れたくない人がいるのもりっちゃんが初めてだよ」




来那の素直な言葉を聞く





「本当に言ってる……?」




俺は涙を溜めた



こんなにも純粋に思ってくれてるなんて




騙されてるかも知れないとか



そんなバカなこと考えていた自分を殴りたい気分だ







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