溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
ハンドルを操りながら、サラリととんでもないことを言う彼の横顔をまじまじと見つめてしまう。


「なに、言ってるん——」

「俺はいいけど」


私の言葉を遮る彼は、柔和な笑みを浮かべる。


「俺は、澪となら大歓迎だけど」


そんなこと言ったって、私たちはまだ互いのことをよく知らないのよ?
そもそもよく知らない千代子さんとの縁談がイヤだったんでしょ?

頭の中が混乱して、言葉が出てこない。


「とにかく、一緒に始めてみようよ。ダメなら婚約を解消すればいい」

「こ、婚約してないです……」


そう返すので精いっぱい。
すると彼はなにも言うことなく、白い歯を見せた。


笑ってるじゃない。
こんなに優しい笑みを見せるのに、笑わない人だなんて、信じられない。


彼に私のマンションまで送ってもらい、そのまま部屋に引っ込もうかと企んでいたのに、どうやら私の考えなんてお見通しらしい。
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