溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
「八坂さんの指導は西條さんにお願いします。それでは、本日の担当を発表します」


“八坂”という名前を出したのに、誰も社長の息子だとは気がつかない。
こんなところにいるはずがない人だから、それもうなずける。

ミーティングはなにごともなく終わった。
ただ終わったあとはいつもよりざわつきが多く「かっこいい」とか「素敵」という声が聞こえてくる。


「ちょっと澪。彼、じっくり見るとますますイケメン!」


なぜだか百花が目を輝かせている。


「あれ、そんなこと言ってると、彼氏にチクッちゃうよ」

「バカね。目の保養は別よ! わっ、こっち来た」


大成さんはチーフとともに私の方に歩いてくる。


「西條さん、上からあなたを指導係にするようにと聞いていますが……」


中野さんが根回しをしてくれているのだろう。


「はい。伺っております」

「それでは、お願いしますね」


チーフは首を傾げている。
上層部が、私たちハウスキーパーの仕事に口を出すことなんて前例がないからだ。
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