溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
「西條さん、よろしく」


大成さんは他人行儀に私に頭を下げる。


「よ、よろしくお願いします。まずは、道具の説明をしますね」


私は照れくさくて、すぐに仕事の話に入った。

普段新人に説明するように掃除道具をそろえるところから始め、そろえたところで掃除用のカートを押し、エレベーターに乗った。


「澪」


従業員用のエレベーターでふたりきりになると、大成さんは私の手を引き寄せる。


「は、はい」

「俺、頑張るよ。もっとちゃんと自分の運命と向き合ってみる」

「……うん」


彼がそう言ってくれるのがうれしくて自然と頬が緩んでくる。
もしかしたら婚約破棄を宣言したとき、社長との親子の縁も切ってしまうのではないかと心配していたが、大丈夫そうだ。


「あっ、仕事中は『西條』でお願いできますか?」


そうでないと、いちいちドギマギしてしまう。
それに、皆の前でポロッと出てしまったら困るでしょ?


「いいじゃないか、澪で」

「ダメです!」

「仕方ないな……」
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