溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
「八坂さんの意思?」


私が聞きなおすと、彼は手を止めて私の目を見つめる。


「そう。澪が言ったみたいに、あらがう努力もしなかった。自分はこうしたいと主張したこともなかった。でも、もうそれはやめだ。俺はこのホテルをもっともっとよくしたい」


彼はにっこり笑い、再びスポンジを動かし始める。
大成さんの並々ならぬ決意に、胸が震える。


「今の大成さん、とっても輝いてますよ。ですが仕事中は『澪』はやめてくださいって言いましたよね」


私が思わず漏らすと、彼はもう一度手を止め、白い歯を見せた。

これから彼は、もっともっと笑顔になれる。
そんな気がする。


一心不乱に仕事に集中していると、無事に時間内に担当フロアが終わった。


「間に合った」


やっぱりお昼ご飯は食べられなかったけど、チェックインには間に合った。
エグゼクティブスイートの宿泊がなかったので、私の客室清掃はひと段落だ。
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