溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
しかしそれからは違った。


「これはまずい……」


ふたりの目が鋭く変わり、大成さんがつぶやく。
そして私にはなんのことかわからない会話が続く。

コーヒーを出したものの、ふたりがそれに手を伸ばすことはない。
緊迫した空気が漂い、私はしばらくその真剣な様子を観察していた。


「俺がやり取りしてみます」


大成さんはキリリとした顔つきで中野さんに告げる。


「お願いします。さて、私はこれで」


中野さんはノートパソコンを閉じると、手付かずだったコーヒーを喉に送ってから立ち上がった。


「西條さん、ごちそうさまでした」

「いえ。お仕事お疲れさまです」


私が中野さんをねぎらうと、なぜか大成さんが私の腕を引き、自分の方に引き寄せる。
中野さんはその様子を見て口を開いた。


「大成さん、西條さんに惚れましたか?」


な、なに言ってるの?
瞬時に顔が赤くなるのを感じ、うつむいてしまう。
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