溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
「そうですね。見ての通りです」


大成さんは私の肩を抱き、驚いて顔を上げた私との距離を縮めてくる。
ちょっ……なにするつもり? キス?


「まったく。油断も隙もない。そういうことは人前ではご遠慮ください」


唇が触れそうになる直前に、中野さんが大成さんの腕を引く。
すると大成さんは仏頂面で中野さんをにらみつけている。


「西條さん、おイヤでしたら遠慮なく出ていってくださいね」

「澪は出ていかせない」


ふたりのやり取りは、上司と部下という関係には見えかった。
遠慮なくポンポンと物を言える関係に、ちょっとホッとする。
大成さんが自分の気持ちをぶつけられる人がいたんだと思えたからだ。


「それでは」


中野さんは小さく会釈をして出ていったが、ほんの少しだけ口角が上がったのが見えた。


「澪」


ドアが閉まると、大成さんは不機嫌顔で私をにらむ。
私、なんかした?


「……はい」

「澪は俺だけ見てればいいんだ。中野さんに笑顔を振りまかなくていい」
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