溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
「髪が落ちていたとお聞きしました。申し訳ありませんでした」


ドアから少し入ったところで頭を下げると、大成さんも同じようにしている。

この部屋はデラックスツインルーム。
宿泊料はたしか……一泊三万八千円くらいの部屋だ。
私にはとても出せる額ではない。


「まったく、このホテルはいつもなにかしらやってくれる」

「本当に申し訳ありません」


さほどクレームが多いわけではない。佐藤さまが突出している。


「他人の髪が落ちているバスタブなんかに、浸かれると思っているのか」


そう責められ、一瞬大成さんの足が動いた。
だけど、私は彼より先に前に出て頭を下げる。


「おっしゃる通りです。よろしければ別のお部屋をご用意させていただきます」


佐藤さまは部屋のグレードアップが目的なのだ。
この部屋でも十分すぎるほど立派なのに。

空いている部屋はあらかじめ聞いてある。
チーフもフロントも、佐藤さまの扱いには頭を抱えていた。
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