溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
「いらっしゃいませ」

「彼女にカクテルドレスを。あと、ヘアメイクもお願いしたい」

「……はい」


カクテルドレス? 私が、着るの?

ハウスキーパーの制服を着たままの私を見て首を傾げる従業員は、「承知しました。いつがご希望でしょう?」と予約のノートを広げる。

「今すぐ」

「今!?」


大きな声が出たのは、従業員ではなく、私だった。


「時間がないんだ。急いでくれ」


どうやら私のことは無視らしい。
従業員は戸惑いながらも「それではこちらへ」と私たちを招き入れる。


「西條さん、サイズは?」

「七号、ですけど……」


とっさにサイズを答えてしまったものの、どうして私がドレスなんて?


「七号ですと、こちらにございます」


従業員に案内された八坂さんは、マイペースに数々のドレスを手にしている。

一方私は、美しいドレスに圧倒されて、呆然としていた。
同じ敷地内に勤めているのに、今までこんなにきらびやかな世界とはまったく無縁だった。
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