溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
夕食を食べ終わると、中野さんに電話をかけ始めた。
なにやらトラブルがあって、会社だけでは仕事が終わらないようだ。


「先日の買収の件ですが——」


大成さんはそんな会話をしながら、寝室に行ってしまった。
忙しそうだけど、彼の目は鋭く生き生きしている。


大成さんが知らないところに行ってしまったようで、少し寂しい。
でも、私も負けないように頑張らなくちゃ。


「澪、ごめんな仕事ばかりで」


寝室から戻ってきた彼が、申し訳なさそうに言う。

大成さんは、自分も寂しい時期があったからこそ、私の寂しく思う気持ちに気がつくのかもしれない。だけど……。


「ううん。私も頑張らなくちゃと思ってたんです。誰かのせいで寂しかったとか、幸せじゃなかったとか……そんなの間違いだってわかったから」


両親の離婚を恨んだ時期もあった。
大好きなピアノを手放さなくてはなければならなかったからだ。

しかし、家にピアノがなくても、どこかで練習はできたはずだ。
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