溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
結局その日は、一日中海の近くにいた。
近くのレストランで食事をして、ショッピングモールをウロウロし、それに満足すると、公園のベンチで遠くの海を眺めていた。
「あっ、風が止まった」
夕方になって、あんなに強かった風がパタリとやんだので、思わず声を上げた。
「ホントだ」
「凪、だ」
私がつぶやくと、大成さんは不思議そうな顔をする。
「凪?」
「海風と陸風の入れ変わる時間なんです。そのときは風がやみます。アルカンシエルで働き始めて、初めて知って……自然って偉大だなと感動したの」
思えば、こんな小さな喜びや感動を味わえるのって素敵なことだ。
それを大切な人と共有できるのも。
「昼間は海水より陸地のほうが温まるのが早くて、上昇気流ができるんです。その空いたところに、海から冷たい風が吹いてきて対流が起こる。でも夜は逆」
風のからくりを調べてみると実に理にかなっていて、誰が仕掛けたわけでなくとも、なるべくしてなることがこの世にはあることを知った。
近くのレストランで食事をして、ショッピングモールをウロウロし、それに満足すると、公園のベンチで遠くの海を眺めていた。
「あっ、風が止まった」
夕方になって、あんなに強かった風がパタリとやんだので、思わず声を上げた。
「ホントだ」
「凪、だ」
私がつぶやくと、大成さんは不思議そうな顔をする。
「凪?」
「海風と陸風の入れ変わる時間なんです。そのときは風がやみます。アルカンシエルで働き始めて、初めて知って……自然って偉大だなと感動したの」
思えば、こんな小さな喜びや感動を味わえるのって素敵なことだ。
それを大切な人と共有できるのも。
「昼間は海水より陸地のほうが温まるのが早くて、上昇気流ができるんです。その空いたところに、海から冷たい風が吹いてきて対流が起こる。でも夜は逆」
風のからくりを調べてみると実に理にかなっていて、誰が仕掛けたわけでなくとも、なるべくしてなることがこの世にはあることを知った。