溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
だから、小さな幸せを見つけながら、大きな幸せがいつかやって来るのを待っていればいい。
私は大成さんを信じて、ずっと待っているだけ。


「澪は、感動やさんなんだな」

「大成さんも一緒にどうです?」


なんだかうれしくなって微笑むと、彼も白い歯を見せる。


「もう十分すぎるほど感動してるよ。澪がこうして隣にいてくれるんだから」


彼は私を引き寄せ、優しいキスを落とす。

どちらからともなく繋がれた手は、私たちの未来の象徴。

互いに互いの力を借りながら、私たちなりの幸せをつかめるといいな。


次の日から、また大成さんは忙しくなった。
中野さんが時々家までやってきては、ふたりで難しい顔をして話し込んでいる。

なんだかイヤな胸騒ぎがしたものの、余計なことには頭は突っ込めない。


私は毎日のように帰りが遅くなる大成さんに内緒で、ピアノを習い始めた。
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