溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
「そして、この結婚が事実上、数年後に俺があとを継ぐという知らしめのはずだ。その女の父親は東横(とうよこ)銀行の頭取なんだ」


東横銀行って、メガバンクじゃない。


「大手の金融機関を味方につけて、俺を社長に据えれば資金繰りも安泰だと示したいんだと思う」


大成さんの発言を聞き、顎が外れそうだった。
そりゃあ、東横銀行はすごいけど……ただそれだけのために愛のない結婚をするなんて、私たち庶民には理解できない世界だ。


「俺の存在を煙たがる一派もいるから、親父は早く発表したかったんだ」


ドロドロした世界が現実のものとは思えず、すぐに言葉が出てこない。
すると彼は続ける。


「俺はこのホテルが欲しいわけじゃない。でも、そういう家に生まれたのだから仕方がないと一度はあきらめた」


背の高い大成さんは、少し屈んで私に目線を合わせる。


「だけど、澪の言う通りだ」


『澪』なんて呼び捨てされると、途端に心臓が躍り出す。
まるで彼女にでもなった気分だ。
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