溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
しばらくして、留守番電話が入っているのに気づき、ドキドキしながら再生する。


『中野です。大成さんは少し飲みすぎてしまわれまして、アルカンシエルに泊まられることになりました』


泊まるって……。千代子さんと一緒に?
泣きやんでいたのに、再び視界が緩んでくる。


『お願いです。大成さんを信じてください』


どういうこと?

中野さんの言葉に違和感を覚える。
突然そんなことを言いだすなんておかしい。

自分の好きな人が——ましてや付き合っているはずの人が、他の女性とホテルに泊まったかもしれないというのに、どう信じろというの?


私は電話を切り、ソファに投げた。
ダメだ。大成さんのことが好きすぎて、冷静になれない。

彼が私の目の前で他の女性とそんな関係になるわけがないのに。
まして、千代子さんとの縁談がイヤで、恋人のフリをしたのに。

そう必死に考えても、勝手に涙がこぼれていく。


「大成さん……」


会いたいよ。今すぐ「勘違いだよ」と囁いて、抱きしめて——。
泣き疲れた私は、そのままソファで眠ってしまっていた。
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