溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
「さっき、八坂さんが来たの。澪に話があったみたいだけど、まだいないと知ってこれを渡してほしいって」


大成さんが?


「ねぇ、澪。もしかして八坂さんって……八坂社長の、息子さん?」


百花は私をじっと見つめたまま聞いてくる。
ハウスキーパーの仕事を辞めた今、嘘をつく必要もないと思い、コクンと頷いた。


「そう、だったんだ……。そんな人がまさか私たちと一緒に掃除してたなんて」


彼女は目を白黒させている。


「けど、澪の彼氏なのは本当なんだよね?」


その質問にうなずけない。
もう彼の彼女だと言っていいのかどうかわからない。


「澪、好きならあきらめたらダメだよ」


彼女の言葉にハッとする。


「そんなすごい人と付き合ってるなんて、私たちの希望の星じゃない。なにがあったのかわかんないけど、取られたのなら取り返せばいいじゃん」


百花はニッと笑って見せる。


「百花、私……」


ひと晩泣いても、大成さんを嫌いにはなれなかった。
頭が混乱して、今は会いたくないと思ったけれど、このまま別れてしまうのはイヤだと強く思った。
< 262 / 363 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop