溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
「好き、なんだよね」


私は彼女にうなずいてみせる。

そう、好き。
好きだからこんなに悲しいし、苦しい。
だけど、このまま別れるのは、もっとつらい。


「私にできることはなんでもするから。それ、きっと大事なことが書いてあるよ。八坂さん、本当にいい人だったもん。澪を裏切ったりしないって。先に行ってるからね」


私の肩をポンと叩いた彼女は、私に手紙らしきものを読ませるためなのか、離れていった。


百花が行ってしまうと、更衣室の片隅で、小さく折りたたまれた紙を広げた。

【十五時、ボイラー室】

たったそれだけの走り書き。


「来いってこと?」


たちまち鼓動が速まってくる。
大成さんに会うのが怖いのに、会いたいという気持ちのほうがあふれてきてしまう。

もしかしたら、別れの言葉を告げられるかもしれないのに、百花のおかげで取り乱さずにすんだ。

彼は裏切ったりしない。
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