溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
中野さんの、『大成さんを信じてください』という言葉も、私を支えてくれた。


それから必死に働いた。
不安でいっぱいだったけれど、働いている間は、それも少し和らぐ。

大成さんがいなくなってから、バイトの男の子と一緒のことが多い。
けれど、大成さんとはまるで違い、やる気もなく仕事覚えも悪い。


「そこのシワ伸ばしてください」

「このくらいわからないでしょ?」


私がシーツのシワを注意すると、気のない返事。


「わからない場所まですべて整えてお客さまをお迎えするのが、アルカンシエルです」


このホテルの品格を守りたい。
だって、大成さんがもっともっといいホテルにしてくれるはずだから。


「はー、メンドクサッ」


そう言われたものの、私は意思を曲げなかった。

そしてなんとかスイートルームの掃除まで終えた。
もしかしたらこのスイートは、大成さんと千代子さんが泊まったのかもしれない。

そう考えると胸がチクチク痛む。
< 264 / 363 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop