溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
ひとりで取り残されて、涙があふれそうになる。
もしかしたらしばらく彼には会えないかもしれない。

けれど、彼は『迎えに行く』と言ってくれた。
それなら私は自分のできることをして待っているだけ。


「よし」


私は「ふー」と大きく深呼吸して気合を入れ、そのあとの業務に向かった。


業務が終わりルームレポートをつけていると、百花がやってきて隣に座った。


「澪。大丈夫?」

「うん、ありがと。さっきね、会えたの」


手紙の仲介をしてくれた彼女には伝えておきたい。


「それで?」


私たちは手を動かしながら、小声で会話を続ける。


「私、信じて待ってることにした」

「待ってるって……」

「なにかわけがあるみたい。でも、今は言えないんだと思う」


もしかしたら会社の大切な機密事項が絡んでいるのかもしれない。
しかし、『澪のことをいろいろと詮索しだして』という大成さんの言葉が引っかかっている。
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