溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
「西條さん、行きましょう」


中野さんは私に部屋を出るように促す。
けれど私は首を振る。


「いえ。掃除はさせていただきます。アルカンシエルはどんなお客さまにも同じように楽しい時間を提供させていただきます」


たとえそれが、私を挑発する千代子さんであっても。

私が言うと、中野さんは目を真ん丸にして驚いている。


「中野さん、あと十五分いただけますか?」


それまでそばにいて。私は私の役割をきちんと果たすから。
ひとりだと、またなにを言われるかわからなくて怖い。

私が目で訴えると「わかりました」と了承してくれた。


それからいつものようにバスルームとトイレの掃除を済ませる。
もちろん一切手を抜くことなく、ピカピカに。

その間、千代子さんは不貞腐れた顔をして、ベッドのほうに行ってしまい、中野さんはそばにいてくれた。


「これで終了です。それでは、失礼します」


千代子さんに頭を下げて出ていこうとすると、「二週間」と彼女が突然口にする。
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