溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
あの融資の話が必要なくなったという時点で、大成さんをつなぎとめられないことはわかっているのかもしれない。
もうあとは私に恥をかかせたいだけなのかも。


それからすぐにボーイが私たちを席に促してくれる。
その席が最前列の目立つところだったので、顔が険しくなる。

周りはどこかの企業の重役のような風格の人ばかり。
そんな中に座っている私は、どう見ても浮いている。

しかし、大成さんの同伴者として彼に恥をかかせないようにと、必死に平然を装った。


「それでは、近藤(こんどう)千代子さんの誕生日パーティを始めさせていただきます」


進行役の人が出て来て話し出すと、シーンと場が静まり返って息が苦しくなる。


「千代子さんよりご挨拶です」


アッパークラスの人たちは、こんなにゴージャスな誕生会をいつもしているのだろうか。
披露宴さながらの雰囲気に圧倒されてしまう。

こんなことじゃダメだ。
心を平静に保たなければ、よい演奏なんてできない。
< 309 / 363 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop