溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
「はい」
そのひと言で、荒立ち始めた心がストンと落ち着いた。
「——それでは皆さま、最後までお楽しみください」
彼女の挨拶が終わると、次々にプレゼントや花束を携えた招待客が、千代子さんの周りを取り囲み渡し始める。
それと同時にテーブルに料理が並びだした。
けれども、私は料理には手をつけなかった。
いや、手につくはずなんてない。
ただひたすらに鍵盤の上を動く自分の指を想像して、頭の中でカノンを奏でていた。
やがて千代子さんの周りから人が去り、それぞれテーブルについたところで、大きな花束を抱えた彼女がピアノに向かう。
そして、鍵盤に静かに指を置き演奏を始めた。
「ショパンだ……」
彼女が弾き始めたのは、ショパンの幻想ポロネーズ。
上級者向けの作品だ。
それに対して、私が弾く予定なのは、パッヘルベルのカノン。
そもそもピアノ曲ではなく、中級レベルの楽譜を使っている。
そのひと言で、荒立ち始めた心がストンと落ち着いた。
「——それでは皆さま、最後までお楽しみください」
彼女の挨拶が終わると、次々にプレゼントや花束を携えた招待客が、千代子さんの周りを取り囲み渡し始める。
それと同時にテーブルに料理が並びだした。
けれども、私は料理には手をつけなかった。
いや、手につくはずなんてない。
ただひたすらに鍵盤の上を動く自分の指を想像して、頭の中でカノンを奏でていた。
やがて千代子さんの周りから人が去り、それぞれテーブルについたところで、大きな花束を抱えた彼女がピアノに向かう。
そして、鍵盤に静かに指を置き演奏を始めた。
「ショパンだ……」
彼女が弾き始めたのは、ショパンの幻想ポロネーズ。
上級者向けの作品だ。
それに対して、私が弾く予定なのは、パッヘルベルのカノン。
そもそもピアノ曲ではなく、中級レベルの楽譜を使っている。