溺甘スイートルーム～ホテル御曹司の独占愛～

「大成さん、ありがとう」


めいっぱいの感謝の気持ちを込め言うと、彼は強く抱きしめてくれる。


「お父さんのことは……本当にショックだし悲しいです。でも私は、これから大成さんと幸せになる努力をしたいです」


本当のところ、父のことはまだ信じられないし、受け入れられたわけじゃない。
だからといって立ち止まりたいわけでもない。


うんと幸せになって、父の死を弔いたい。
きっと父も母もそう望んでくれている気がするからだ。


「うん」

「でも、今日だけ泣かせて——」


私が声を震わせると「いくらでも泣けばいい」と私の背中をトントンと叩いてくれる。
その手の温もりがうれしくてますます涙があふれてきてしまう。

それから彼はむせび泣く私をいつまでも抱きしめていてくれた。


あんなに泣いたのに、次の日は穏やかな気持ちで起きることができた。
それは、ひと晩中私を抱きしめ続けてくれた大成さんのおかげだ。