溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
彼のお父さまは私との交際を認めてくれたと言っていたけど、結婚となると簡単ではない気がする。


「式は盛大にやるんだよね。こっそり覗きに行かなくちゃ」

「なに言ってるの? 百花は招待するわよ」


まだ決まってもいないのに、思わず言ってしまった。
だって彼女は大切な友達だもの。


「え、だって私、そんなところにいちゃいけないでしょ?」


おそらく大成さんの周りは、千代子さんのパーティにいたような上流階級の人だらけだろう。
だから、そう言ったんだと思う。


「それじゃあ私も、ダメでしょ?」


私が続くと「あはは。花嫁がダメって……」と肩を震わせ笑い出した。

私、大成さんの花嫁に、本当になれるのかな……。
そんなことを考えながら、私も笑顔を作った。


ミーティングが始まり、いつものようにチーフが担当階を読み上げていく。
それなのに、私の名前が入っていない。


「——以上です。あっ、西條さんは残ってください」

「……はい」
< 327 / 363 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop