溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
言葉を失くした彼女は、呆然と大成さんを見つめている。


「俺は好きな女と一緒になりたい。君もそのほうがいい。俺はすべてを捨てる。君の望む高い水準の生活は、俺には叶えられない」


『すべてを捨てる』って……もしかしてこのホテルも、ということ? そこまで覚悟しているの?

そうこうしているうちに、周りに人が集まってきてしまった。
穏やかな雰囲気をぶち壊したのだから、無理もない。


「そんなこと、許されると思っていらっしゃるんですか?」


声を震わせる千代子さんは、あきらかに動揺している。


「許されないでしょう。でも、それも覚悟の上」

「大成さん」


小声で彼の名を呼び制したものの、彼は少しも動じる様子がない。
そこに白髪でスタイルのよいオジサマが飛び込んできた。


「大成、なにをしている?」


私を一瞥したその人は……社長、いや大成さんのお父さまだ。
写真では見たことがある。
大成さんと、どことなく目元が似ていた。
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