溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
彼は少しバツの悪そうな顔をする。
だけど、社長になろうという人が、私たちの仕事のことまで知っている必要はない。


「体力はいりますね。お昼も遅くなることが多いです。でも、大成さんはハウスキーパーの仕事を知らなくてもあたり前だと思いますけど……」

「いや。知るべきだ」


彼は語気を強める。

彼の意外な一面を見た気がする。
なんというか……私を甘い言葉で翻弄してからかっている姿は鳴りを潜め、将来のトップとしての意気込みを十分に感じるというか……。

大成さんは自分の意思を無視した結婚を押し付けられ『会社なんていらない』とつぶやいたけれど、本当はアルカンシエルを背負う覚悟があるのだと感じる。


「ま、そんなことはいい。腹減った」


彼はそう言って、私の手をさりげなく握る。
本当に彼女みたいな扱いをされ、どうしていいかわからない。
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