溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
それに、私たちの仕事のことまで知ろうとしてくれる上司になら、会社の未来を任せられる。

そう思い言ったのに、彼は苦しげな顔をして窓の外を眺めるだけだ。


そのうち、コーヒーとサンドウィッチがやってきて、私は彼に勧めた。


「お腹空いてるんですよね。食べましょう」


私の言葉に小さくうなずく彼は、なにを考えているんだろう。


「私、大成さんがトップに立ってくださるなら、もっともっと頑張れる気がします」

「澪……」

「ハウスキーパーの仕事まで気にかけてくれる経営者なら、安心してアルカンシエルをお任せできます」


それは嘘偽りのない本音だった。
けれど彼は首を振る。


「自由になりたい。今回の婚約のことだけじゃなく、これから先もいろいろな制約があるだろう。もう、自由に……」


大成さんは顔をゆがめる。
よほど息の詰まる生活をしてきたのだろう。

彼の過去を知らない私は、それ以上なにも言えなくなり、サンドウィッチを頬張った。
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