日向 HIMUKA
「日向(ひむか)か?」

日向は、
ガタゴトと派手な音をならしながら、
ぼくの横にでん、と机をおちつけた。

顔ほどもある水晶が、
あの夏の日と少しも変わらず、
きらきらと白く輝いている。

黒ずくめのファッションは、
冬用に衣替えしたらしいが、
この世離れした印象は相変わらすだ。

「久しぶりだな」

日向は、
帽子のかげから丸こい目をちらりとのぞかせて言った。

この、魔法使いさながらのおばさんこそ、
例の生霊騒動を解決に導いた名(迷?)霊媒師、日向だ。

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