あたしはモデル。【完】
「兄……」
拓夢が、唖然とした顔をした。
お兄ちゃんってそんなに有名だったんだ…
「うん、お兄ちゃん。
元々、私の両親は私が小さい頃に亡くなってて、当時21歳だった兄とニ人で暮らしてた。
すごく優しい、お兄ちゃんだった。」
過去形で話すのが、こんなにも苦しいなんて。
「すごく、幸せだったの」
でも……
「でもね、私のせいでお兄ちゃん…
っ、私のせいで刺されたの!!
血がっ、ぶわって!
止まらなくて!!
なのにお兄ちゃんはそんな状態でまだ、犯人から私を守ろうとしてた。
私、何もできなかった…!
お兄ちゃん、死んじゃった……」