あたしはモデル。【完】
「高校も無事に受かってから、叔父さんに…あ、ヒロトのお父さんね?
引っ越しの費用を借りて、引っ越そうと思った。
事件があったのが私の家の前だったから、家に入ろうとするたび恐怖で、つらくて。
でも結局、引っ越せなかったの。家には、お兄ちゃんとの思い出がたくさんあったから」
拓夢の胸にうめた顔をゆっくり離す。
「ずっとひとりで考えて…
行き着いた答えが、お兄ちゃんと同じモデルになる事だった。」
こんな事でお兄ちゃんが喜ぶかはわからなかった。
でも、それしかその時の私には思いつかなかった。
叶わなかったお兄ちゃんの夢を
私が、代わりに叶えたら
お兄ちゃんは喜んでくれる?
答えはもう一生わからないけど。
お兄ちゃんの夢を、叶えたかった。