約束の大空 3 ※ 約束の大空1&2の続編。第四幕~(本編全話 完結)




「舞さん、大丈夫ですか?」


時尾さんに声をかけられて頷くと、
今度は戦装束の女の人が、何やら皆に指示を出し続ける。

それは敵の砲弾が場内に入っても濡らした布で弾を覆ったり
水をかけて、破裂させないようにさせて、その弾を自分たちの銃弾へと加工する作業を
伝える声だった。



「強いですねー。
 あの人」


そう言うと、時尾さんは自慢げに告げる。

会津の女の誇りなんだ……っと。


その人の名前を告げはしたけど、
私には聞き取ることが出来なくて。



だけどこの場所で、私たちは一ヶ月の籠城を続ける。


籠城を始めた頃はまだ肌寒い秋。

度重なる城へと砲撃でお城が日に日に、
無残な姿へと変貌していく。


米沢藩の降伏の知らせが届き、
日をあけずして庄内藩のが降伏したとの知らせが城内を駆け巡る。



その後も、城内に集った人たちは必死に新政府軍と戦い続けたものの、
運命のその日はやってきた。





会津降伏。





降伏した瞬間もボロボロになりながら、
天守閣が落ちることなく立ち続けた鶴ケ崎城(若松城)。




その日のお城の姿と、
一緒に涙した皆とのかけがえのない時間は忘れられない。





その日、お城から殿の姿が消え、
戦いに身を投じた会津の兵士たちは、
新政府軍たちと共に、何処かへと連れていかれた。



それは斎藤さんも同じで、私は……はぐれる形になった。




でも大丈夫。

私と関わってくれた時尾さんが、
斎藤さんのパートナーとなる高木時尾さんかどうかはわからないけど、
この先の未来は、私がいない……舞ちゃんがいない未来が始まるから。





斎藤さん、有難う。


私は心の中で、斎藤さんお礼を告げた。





さっ、行こうか。
敬里。



花桜が待ってる約束の場所、
箱館へ。



そっと胸に手を当てて心の中にアイツに、
声をかけた。

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