私の上司はご近所さん
沙也加さんの花嫁姿を妄想していると、彼女がとんでもないことを言い出した。
「ふたりも早く結婚しちゃえばいいのに」
沙也加さんはニヤニヤとした笑みを浮かべながら、私と部長を交互に見つめている。
け、結婚って……私と部長が?
頭に浮かび上がるのは、桃色に染まったふたりの世界。
「ただいま」
「おかえりなさい!」
玄関にお出迎えした私の頬に、部長の優しいキスが落とされる。
部長とこんな風に甘い毎日を過ごせたら、すごく幸せだな……。
ひとりでニンマリとしていると、「コラ、大人をからかうんじゃない」と沙也加さんをたしなめる部長の声で我に返った。
「別にからかってないし。かわいい百花ちゃんが妹になってくれたら、うれしいと思っただけ」
い、妹?
気が早すぎる沙也加さんの言葉に、ただただ驚く。それでも美人で明るくて優しい沙也加さんが義理のお姉さんになってくれれば私もうれしいな、などと密かに考えてしまった。
私こそ、気が早すぎるでしょ……。
心の中で自分にツッコミを入れていると、部長がようやくイスに腰を下ろした。
「俺たちはつき合い始めたばかりだし、それに園田さんはまだ二十五歳だ。結婚を焦る年じゃないだろ」
「それもそうか」
私をそっちのけで話が進んでいくことに不満を感じつつも、結婚について鮮明なビジョンが見えない私は黙ったまま料理を口に運んだ。