王妃からの手紙 ~娘からの手紙に父王の反応は?~ (次期王の花嫁番外編
「こう来るとは、考えなかったな」
「そうですね」

 手紙に目を通したシキアもコセラーナの呟きに相槌する。

 クスイの王は、現王の指名制で血族とは関係なしに選ばれる。

 そのため王族は存在しない。

 コセラーナの調べで、クーデノムが現王の息子であるという情報は掴んでた。

 現王が次期王を選ぶときに『息子を探し出しててみろ』という面白い条件を王宮に務める文官・武官たちに与えたことは伝わってきた。

 臣下たちがどんな行動をするかで、今後の新しい人事を思案する材料にもなるということだったらしい。

 その中で、文官の出世頭であるクーデノムが現王の子だったとの情報は極秘というわけではなく、調べれば手に入れられる程度の情報だった。

 だから、王は血族である彼を指名することはない、と思い込んでいた。

 血族で選ばないのではなく、王になれる器なら誰でも指名できるということで、血族から選んでも構わないのだ。

 そして、クーデノムがクスイ国の王になった、とセーラからの手紙には驚きが怒りとなって報告されてきていた。

 クーデノムが言った文官職を失うという言葉に偽りはない。こちらが勝手に思い込みのもと推測しただけだ。

 まさに、してやられた気分だった。

 さすが見込んだだけはある、と妙に楽しい気分になった。

「セーラから手紙が来たって?」

 王妃のクイレイラが部屋に姿を現す。

「なんだか、楽しくやってるみたいだ」

 この先もきっと大丈夫だろう。そんな確信を文面から感じて、コセラーナは満足気に微笑した。

【END】
< 3 / 4 >

この作品をシェア

pagetop