私はそんなに可哀想ですか？

親心

イレギュラーな週末が明けた翌週の月曜日。

もちろん俺は6時13分のバスに乗っている。相変わらずおばあちゃんはみかんを頬張っているし、小学生のランドセルも小さくはならない。

当然女子高生は椅子に座る前に『痛っ！』と言った。

そこから3つ停留所を過ぎた。

誰も乗ってこないはずの停留所でバスは止まり、お馴染みの空気の抜ける音がして扉が開く。

いつもと同じように、まるであの日の事が無かったようにスーツ姿の彼女は乗り込んできた。

そしてあまつさえ俺の隣に腰を下ろして笑顔で言った。

「おはよう、御手洗君」