四面楚歌-悲運の妃-
私まで出ていくとは思わなかっただろう。
私は掟を知らなかったのに。
…冥明様は聖大神を愛してはいなかった。
けれど掟に従い聖大神と子を成し、聖大神を誕生させた。
聖大神を生んだ事で、村にそれ程追われる事はないと思ったのだろう。
それまで掟に従い耐えた…
考えると辛く悲しい。
「聖大神を生んだといえど、大事な七神だ。村は冥明様を探した。けれど、冥明様は気を消す力に長けていた。それ故、村も探し出せないままだ。
冥紗も探せなかったのは、冥明様と一緒に居たからだろう。」
そう言うと、再び机の上に置かれた仮面を手に取る。
「この仮面には冥明様の力が込められている。〔生〕〔風〕の力の封印だけではない。この仮面をつけている時の冥紗は、近くにいても聖人の気が少しも感じられない。そなたを想っての事だろう。」
冥明様…
私は知らない所でも、冥明様に助けられていた。
村に見つかり連れ戻され、自分と同じ思いをしない様にと…。
止まっていた涙が、また溢れだす。
初めは後宮に行く事を反対されていた。
けれど
聖人である事…七神である事が逃れられないのなら
せめていけるとこまで好きな様にと…と言ってくれてる気がした。