恋のかけ引きはいつも甘くて切なくて



名前くらい…
聞けば良かったな。

「顔しかわかんないや…。」


正門の壁に寄りかかりながら、
そんな事を考える。








「ひより〜‼︎」


ー‼︎ー




すると、少し先の方から
未玖の声が聞こえて来た。

急ぐように小走りで
こっちに向かって来る。



「ごめんねー‼︎大丈夫だった⁉︎
人多かったでしょ〜‼︎」

「うん。多すぎて
びっくりしたよ〜。」

「初日なのに本当に
ごめんね〜(泣)
よしっ、行こっか‼︎」

「うんっ。」



未玖は申し訳なさそうに
胸の前で手を合わせると、
私の手を引いて歩き出した。
< 22 / 39 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop