優しい魔女は嘘をつく

くじ引きの結果を見たときの堂本くんの顔が歪んでいたのは、そのせいだったんだろう。



誰でも前の席にはなりたくない。先生にみられるし、注目されるし。




窓側の列の一番後ろの席はいい。私が座っているここが、その席。



人数の都合上、この席だけ隣の男の子がいない。




私のくじ運、そんなに良くないはずなのになぁ。



その時はもう、一生分の運を使い果たしちゃったんじゃないかと思った。






向きを変えて窓の外を見ると、まだ若い緑の銀杏が風で揺れていた。




季節は秋。今日は九月二十日。




二階ぐらいまである大きないちょうの木は、まだ黄色には染まっていない。




風に当たる度にフルフルと身を揺する木からは、数枚の緑の葉っぱが、ひらひらと落ちてくる。


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