優しい魔女は嘘をつく
4、誰も知らないシンデレラ
** 咲良side
「こっち向いて、じっとしててね」
十月二十三日、月曜日。──文化祭本番の十分前。
私はクラスメイトの人に捕まって、メイクをされていた。
まさかこんなに本格的になるとは……恐るべし、シンデレラ。
なんて考えている間にメイクは終わり、私は今、自分の顔を手鏡で見ていた。
正直、生まれ変わったみたいだった。私はしばらく、固まっていた。別人みたいだった。
衣装係の人が作ってくれた衣装もクオリティが高くて……まさかメイクまでこんなにレベルが高いなんて。
驚いて椅子から動けない私の名前を、遠くから誰かが呼んだ。
「木越」