優しい魔女は嘘をつく
堂本くんが、何かを言っている。
そうだ。早く、台詞……言わなくちゃ。
あ、でも、次はなんて……なんて、言えばいいんだっけ。
周りの音が抜け落ちたみたいに、なにも聞こえない。……どうしよう。
なんて、言えばいい?
……私は、どうしたら、いいんだろう。
ふらっ、と体が揺れる。
次の瞬間、視界に映っていたものが無くなって、私の目にはステージの床が映っていた。
ガシッ、と掴まれた肩。
たたらを踏むと、タン、タンとヒールが床を叩いて音をたてた。
「──おい」
冷静な声にハッとして、私は現実に引き戻される。