やっぱり、あなたが好き
ポケットの中でスマートフォンが鳴る。
私はすぐさま家を出た。
土砂降りの雨の中、私は傘を差すのも忘れて、無我夢中で走り続けた。
ただ一本の傘を胸に抱えて。
「優!」
あなたの名前を呼ぶ。
色とりどりの傘の下で、あなたは私を探し続ける。
「優!」
もう一度、名前を呼ぶ。
「こっちだよ!」
あなたと、目が合った。
あなたは一瞬目を輝かせたかと思えば、
顔を伏せて、
それからまた私を見上げた。
「ごめんなさい!」
私の言葉と重なった。
それに驚いたあなたは、私が笑うと嬉しそうに目を細めた。