【完】Kiss me 社長の秘密と彼女のキス
テレビの画面はブルーレイのメインメニューがまだ映しだされており、昨日のコップなどもそのままになっていた。

時間は6時前。慌てて暖房を入れなおして、静かに自分の部屋に戻り、身支度を済ませるとキッチンへと向かった。
昨日の食器を片付け、冷蔵庫を開け昨日の帰りに買った材料をそっと出すと少し悩んでから料理に取り掛かった。

まだソファで眠っている芳也を起こさないように、ご飯を早炊きでセットして、簡単にほうれんと豆腐の味噌汁と卵焼きを作り炊飯器を確認した。

(あと5分で炊き上がるな……)

キッチンにみそ汁のいい香りが漂ってきたところで、ムクット起き上がる人影が見えた。

大きく伸びをするように手を上げて、首を回しながら起き上がった芳也に、麻耶は「おはようございます」とニコリと笑顔を見せた。
その笑顔を唖然として見た後、
「元気そうだな」
それだけ言うと芳也は立ち上がった。
「はい。2日連続すみませんでした!でもなんかいろいろ吹っ切れました!」
「はあ?」
その言葉にさらに芳也は目を丸くして呆れた表情を見せた。

(よしよし、社長も朝から社長だ!)

昨日の優しさは微塵もなさそうに、気だるそうに起き上がった芳也に麻耶は自分の中で、納得するとテキパキと用意を続けた。

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