主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-③
「輝夜、何かあったな?」
「兄さん…分かりますか?母様にも聞かれましたけど言えなかった…」
庭のあちこちに配置されている庭石にふたり並んで腰掛けた朔は、笑みの消えた輝夜の手をしっかり握った。
「俺に言えることで、母様に言えないこと?」
「…はい。でも本当にそうなるのか分からなくて…そうなってほしくなくて…」
曖昧なことを言ってまたぼんやりする輝夜に朔は押し付けがましくならないように優しく問いかけた。
「母様のこと?」
「正確には母様のことではないです。兄さん、明日一緒に幽玄橋に行ってくれませんか?」
「明日?うん、分かった。母様たちには内緒で?」
「はい」
頷き合ったところでふたりを探していた雪男に見つかり、居間に連れて行かれたふたりは息吹に団子を差し出されて美味しそうに頬張った。
「父様はちょっと出かけて来るから、その後すぐ百鬼夜行に出るし、お話したいことがあったら今行っておいで」
「大丈夫です。ぎんで遊んできます」
“ぎん”とは九尾の白狐の妖で、普段は人型でよく屋根の上に居る。
本来は銀(しろがね)という名だが朔はめんどくさいからと言ってぎんと呼んでいた。
「そっか、じゃあ銀さんに遊んでもらっておいで。雪ちゃんは百鬼夜行の準備だよね?」
「ん。なあ、なんか輝夜変じゃなかったか?」
ーーやはり普段子供たちをよく見ている雪男は気付いていた。
屋根の上に上がって銀と騒いでいる間に息吹は大まかに先程の出来事を話し、雪男は眉をひそめた。
「何か起きそうだな」
「やっぱりそう思う?私も目を離さないようにするけど雪ちゃんもよく見ててね」
輝夜には不思議な力が備わり、また欠けているものがあるらしい。
それに何か関係することなのだろうか?
心配は尽きなかった。
「兄さん…分かりますか?母様にも聞かれましたけど言えなかった…」
庭のあちこちに配置されている庭石にふたり並んで腰掛けた朔は、笑みの消えた輝夜の手をしっかり握った。
「俺に言えることで、母様に言えないこと?」
「…はい。でも本当にそうなるのか分からなくて…そうなってほしくなくて…」
曖昧なことを言ってまたぼんやりする輝夜に朔は押し付けがましくならないように優しく問いかけた。
「母様のこと?」
「正確には母様のことではないです。兄さん、明日一緒に幽玄橋に行ってくれませんか?」
「明日?うん、分かった。母様たちには内緒で?」
「はい」
頷き合ったところでふたりを探していた雪男に見つかり、居間に連れて行かれたふたりは息吹に団子を差し出されて美味しそうに頬張った。
「父様はちょっと出かけて来るから、その後すぐ百鬼夜行に出るし、お話したいことがあったら今行っておいで」
「大丈夫です。ぎんで遊んできます」
“ぎん”とは九尾の白狐の妖で、普段は人型でよく屋根の上に居る。
本来は銀(しろがね)という名だが朔はめんどくさいからと言ってぎんと呼んでいた。
「そっか、じゃあ銀さんに遊んでもらっておいで。雪ちゃんは百鬼夜行の準備だよね?」
「ん。なあ、なんか輝夜変じゃなかったか?」
ーーやはり普段子供たちをよく見ている雪男は気付いていた。
屋根の上に上がって銀と騒いでいる間に息吹は大まかに先程の出来事を話し、雪男は眉をひそめた。
「何か起きそうだな」
「やっぱりそう思う?私も目を離さないようにするけど雪ちゃんもよく見ててね」
輝夜には不思議な力が備わり、また欠けているものがあるらしい。
それに何か関係することなのだろうか?
心配は尽きなかった。