政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
将吾さんのくちびるが、わたしのくちびるを捕らえる。ちゅっ…ちゅっ…と角度を変えて、何度もキスをする。
ボーズのスピーカーから、うっすら歌が聴こえてくる。Jackson5のときのマイケル・ジャクソンの声ではなく、スティービー・ワンダーの声の♪Someday at Christmasだ。
「……こんなキスじゃ……もの足りないだろ?」
アーモンド型の瞳で、いたずらっ子のように、将吾さんがわたしを見つめる。
「……わたしたちは……政略結婚よ」
彼がわたしとの結婚の本来の趣旨を思い出しますように。
「そうだったな……」
その直後、彼のくちびるがわたしのくちびるに押しつけられた。間髪入れずに、彼の舌がわたしのくちびるをなぞる。
どうやら、逆に彼を煽ってしまったようだ。
わたしはくすぐったくなって、くちびるを少し開いてしまう。すかさず、彼の舌がするりとわたしの口内に入ってくる。
やっぱり、この人はやると決めたらやるんだな。
……もう、ダメだ。
百戦錬磨のキスの達人に抗ったのが、そもそも無謀な作戦だったのだ。
わたしは彼の首の後ろへ手を伸ばした。
彼はわたしの後頭部を大きな手でがっちりと包み込んだ。
今度のキスは、不可抗力でも、流されたのでもない。
……わたし自身の意思だ。