政略結婚はせつない恋の予感⁉︎

わたしは披露宴会場のテーブルに戻った。
将吾さん、大地、亜湖さん、そして裕太以外に太陽もいたが、海洋はいなかったのでひとまずホッとする。

将吾さんは太陽と親しげに話をしていた。
二人とも学部は違うが同じKO大出身だった。
慶人を通じて、顔見知りだったのであろう。

将吾さんはスウェーデンとのクォーターだが、色素の薄い太陽もハーフかクォーターのような風貌だ。

太陽はまだ一生をともにするような相手に巡り会えてないのかな?
相変わらず、まだまだ遊び足りなさそうな顔つきをしていた。

太陽と海洋は双子だが二卵性なので似ておらず、むしろ太陽は慶人によく似ていて、海洋は大地によく似ていた。

親戚の同年代の男どもは四人とも、一八〇センチ前後の長身でイケメン揃いではあるが、子どもの頃から一番チャラくて、女性関係に問題ありだったのが太陽だ。

足がめちゃくちゃ速くて、陸上部に入ったらインターハイ出場間違いなし、と言われていたのに「放課後まで野郎に囲まれていたくない」との理由により、帰宅部でバンド活動に勤しみ他校の女子たちからキャーキャー言われていた。

中高一貫の超名門男子校に通っていた頃の彼らに一度、一番成績が良くて本当に頭の賢いヤツはだれ?って訊いたことがあった。

すると、速攻でしかも全員一致で「太陽」と答えたのでびっくりした。なんでも医学部も狙えるほどの成績だったらしい。

『どうして医者にならなかったの?医者ってモテるじゃん?』

太陽にそう訊いたら、

『バカか。医者ってのは成績がいいってだけでなっちゃいけない職業だ。おれより海洋の方がずっと向いてる』

と、いつになく真顔で返された。

太陽がしゃかりきになって勉強しているという話はとんと聞いたことがないが、経済学部ではなく敢えて商学部に進み、在学中に公認会計士の資格を取得した。

また、あさひJPN銀行に入行したあと、銀行から留学した先は超名門ハーバード大のビジネススクールで、もちろんしっかり経営学修士(M B A)を得ている。現在は、執行役員である経営企画部長に就いて、頭取へのキャリアを着々と積んでいた。

まだまだチャラさは残っているが、ヤツも朝比奈の一族らしく、朝比奈にとって一番有益になる道を歩んでいる。


その太陽が唖然とした顔で言った。

「……彩乃、なんだ?その真っ赤っかな顔は?
浴びるほど酒でも呑んだか?」

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