政略結婚はせつない恋の予感⁉︎

欲のないわたしがかつて唯一望んだ……幼い夢。

「海洋と結婚して、子どもを産み、育てること」

それを失ったあのとき、わたしにはもう必要とするものがなくなってしまった。
だから、それからは必要とされるものに身を任そうと決意した。

もし、将吾さんがわかばさんを思う気持ちが、かつてのわたしが海洋を思う気持ちと同じようなものであるなら……

彼が本当に望んでいるのは、わかばさんだ。

……だったら、わたしはあなたに必要とされていないということでしょう?


自分の気持ちに、素直に生きてほしい。
わたしがあのときにしたあんな思いを、ほかのだれにも……

いいえ……将吾さんだけには、してもらいたくないから。

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